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Vol.5 見えざるヒント【part 2】

 

前回3つの写真を見て終わった。

まずは復習しよう。

 

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この赤い丸で囲んだ部分。

一体これはなんなのか。

 

答えは反り腰によって作られたシワだ。

これは普段の姿勢が骨盤前傾している人に起こりやすい。

 

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この3つの姿勢の1番右、反り腰&骨盤前傾のパターンだ。

アスリート、それもトップ選手になればなるほど、この姿勢のパターンが多くなる。

理由はこの姿勢が1番パワー発揮がしやすい姿勢だからだ。

そして特にスピードを生かす選手は、ほぼ必ずと言っていいほどこの姿勢パターンになる。

ちなみに真ん中の猫背、骨盤後傾のパターンはお腹にこの線が出来やすい。

要は関節が大きく曲がっている部分に跡がつくのだ。

 

 

だがこの反り腰&骨盤前傾パターン、メリットもあればデメリットもある。

それはパワー発揮がしやすい分、色んな関節に負担をかけてしまうのだ。

そして今回の選手はそれが股関節、そして腰への負担が大きくなってしまった。

 

前回梨状筋症候群だと診断を受けて私の元へやってきたと言ったが、実はこの選手梨状筋の問題は少なかったのだ。

症状自体はほぼ一致するのだが、梨状筋の硬さはほぼ無いと言っていい。

更に股関節周囲の筋肉も動的、静的にも硬さは無い。

触ってもむしろ通常のアスリートの筋肉よりもかなり柔らかく、しなやかな筋肉だ。

では一体何が原因なのか。

 

そこで視点を変えて他の関節、筋肉にも目を向けてみた。

そして見えてきたのが反り腰&骨盤前傾からなる梨状筋症候群に似た症状だった。

 

施術前と後で姿勢の変化を観察し、動いてもらった。

施術後の方が圧倒的に痛みや違和感が無くなったと彼は言った。

骨盤前傾を改善したのは実は1横指分(人差し指の横の幅)だけである。

だが、このほんの少しの変化でも選手がプレーする時の感覚というのはかなり違う。

実際この姿勢変化で今現在かなりプレーが出来ている。

 

ただし、次に考えなければいけないのがこの選手の特徴である、「スピード」をこの施術により奪ってしまっていないかという事である。

先にも述べたが骨盤前傾パターンはパワー発揮がしやすい。

それはすなわちスピード型の選手にとっては必要条件のようなものだ。

骨盤後傾に促してしまうとその必要条件を満たせなくなり、スピードを失ってしまう。

だがこれはトレーニングで解決できる問題だ。

今回は紹介出来ないが、骨盤をニュートラルに安定させたまま行えるスピードトレーニングなどをすれば何も問題は無い。

 

 

目に見えて分かる問題から、見えない問題まで人の身体の特徴というのほ様々である。

特に背中というのは、人の運動の特徴を知る上ではかなり有用な手掛かりとなり得ることもある。

たまには自分の背中を写真で撮ってみることもいいかもしれない。

 

鈴木 翔