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Vol.9 オスグッドの原因と筋トレの関係 【PART 1】

 

育成年代、特に小学校高学年〜中学生に多い障害の1つにオスグッドがある。

私が小学生、中学生の頃は筋トレのせいだと言われていた。

この通説のせいで育成年代の筋力トレーニングは悪とされる印象の人も多いだろう。

しかしそれは本当に正しいのか?

今回はオスグッドと筋トレの関係について解説していく。

 

 

オスグッドとは

オスグッド(正式名:オスグッドシュラッター病)

この怪我は骨の成長スピードと筋肉の成長スピードが釣り合わなくなる事で起きる怪我である。

痛くなる部位は大体この辺り。

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膝のお皿の下の、骨が出っ張っている部位(脛骨粗面)だ。

何故この部位が痛くなるのか。

それには膝の構造を知る必要がある。

 

 

膝の構造と痛みの原因

膝は3つの骨で構成される。

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オスグッドはスネの骨(脛骨)が筋肉に引っ張られて痛みが出る怪我である。

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上の図のように、大腿四頭筋というモモ前の筋肉が脛骨に付着している。

大腿四頭筋は膝を伸ばす筋肉なので、大人の場合でもこの筋肉の柔軟性が落ちると膝の前側に痛みが出る。

 

先にも述べた通り、骨の成長スピードと筋肉の成長スピードが釣り合わなくなるとオスグッドという怪我になってしまう。

"骨の成長スピード<筋肉の成長スピード"になってしまうとオスグッドが発生するという事だ。

ちなみにオスグッドの子はよく骨が出っ張ってしまうが、これはまだ骨が柔らかい為に大腿四頭筋の付着部である脛骨粗面という部位が引っ張られて骨が出っ張ってしまうのだ。

 

 

オスグッドの予防

"骨の成長スピード<筋肉の成長スピード"=オスグッドになってしまうのならば、"骨の成長スピード=筋肉の成長スピード"にすればいい。

だが成長スピードを遅らせる事は出来ない。

ならばどうするか。

 

ズバリ、ストレッチである。

 

オスグッドはストレッチさえしっかりしておけば絶対防げる怪我だと断言してもいい。

そしてどこをストレッチするかというと、モモ前の筋肉(大腿四頭筋)である。

 

モモ前のストレッチの方法

今回は2種類のストレッチを紹介しよう。

  1. クワッドストレッチ(ランジスタンス)
  2. クワッドストレッチ(側臥位)

 

まず1から見ていこう。

 

クワッドストレッチ(ランジスタンス)

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右脚を前に出し、左脚は地面に膝を着いてしゃがむ。

この時、地面が硬い所だと膝を痛めるかもしれないのでタオルなどを敷くといい。

次に後ろ脚の足首を持ち膝を曲げ、モモ前を伸ばしていく。

そして注意すべきポイントは"姿勢"だ。

 

伸ばしていく時に、上半身が前かがみになり猫背の姿勢になると、上手く伸ばしきれない事が多々ある。

 

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ストレッチの効果をしっかり出すためにも、上半身は真っ直ぐ伸ばし、モモ前が伸びている感覚のポイントで姿勢をキープすると良い。

 

クワッドストレッチ(側臥位)

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まず横向きに寝る。

上側の足首を掴み、踵とお尻を近付けるようにして伸ばす。

更に伸ばしたい時は踵とお尻をくっつけたまま手を後ろに引き、膝が後ろに来るようにモモ前を伸ばしていく。

 

これの注意すべきポイントも"姿勢"だ。

身体が丸まってしまうと上手く伸ばせない。

上手く伸ばす為には少し身体を反らせると良いだろう。

 

長くなってしまったので本日はここまで。

次回ストレッチをする時のポイントと、筋トレの関係について説明していく。

更新予定は11/26(火)。

乞うご期待。

 

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鈴木 翔

Vol.8 いつの間にか骨折 〜スポーツ編〜

 

いつのまにか骨折。

テレビなどで以前よく聞いた言葉だ。

テレビで使われていたこの用語は、主にご年配の方の骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に対しての事を言っていた。

骨密度が減り自重を支える事が困難となり骨折する。

歳を重ねると防ぎようがない怪我の1つとも言える。

勿論対策は様々あるが、基本的に老化には抗えない。

今回話すのはそんな老化とは真逆の話。

 

 

疲労骨折

育成年代、特に中学、高校生に多い怪我の1つに"疲労骨折"がある。

疲労骨折とは練習強度が高すぎて骨がその強度に耐えきれず骨折してしまうものだ。

いつの間にか骨折のスポーツ版とも言える。

 

普通の骨折のイメージだとこういうものを想像するだろう。↓

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画像引用

https://kokansetsu-itami.com/sonota/6547/

 

だが疲労骨折は少し違う。

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画像引用

疲労骨折 Jones骨折 外傷・疾患 フォレスポ フォレスト整形外科スポーツクリニック

 

恐らく普通の人が見ても何がどうなっているか分からないだろう。

それもそのはず、医者でもごくごくたまに見逃してしまうレベルなのだ。

それを見分けられる方法を教えられたらよかったのだが、正直そんなものはない。

経験によって多分疲労骨折だろうなと予想をつける事は出来るが、以前の記事にも書いた通り医師免許を持っていない者に診断をする事はできない。

 

ではどうするか。

 

見分けることが出来ないならば予防すればいい。

 

疲労骨折の予防

これに関しては簡単に解決できる。

疲労骨折の予防法は休む事だ。

 

だがこの休むという行為、そう簡単にはいかないのである。

 

 

スポーツ強豪校や部活でひたすら走りまくっていた人は分かると思うが、部活の顧問やコーチはそう簡単に休ませてはくれない。

「痛いと思うのはお前が弱いからだ」

「その程度で休むんじゃねえ、俺は膝を怪我しててもやったぞ」

などなど、ありがたいお言葉を頂いた方も多いかと思う。

 

 

正直時代遅れもいいとこだし、そんな根性論でスポーツは強くはならない。

 

 

物事には必ず理由がある。

足が痛いのは疲労が溜まっているからだし、膝を怪我しててもやっていたのはただの自己満足だ。

 

少し愚痴が入ってしまったが、とにかくこういう場合は休む事に目を向ける必要がある。

もしくは監督、コーチ、顧問に気付かれないようにサボる能力を付けるのも選手にとっては重要な能力だと私は思っている。

ただし、サボると言っても上手いサボり方をしなければいけない。

 

例えば「膝が痛いので少しストレッチをしてから練習に混ざってもいいですか?」と言ったように練習をする姿勢をしっかり見せつつ、更に"ストレッチ"というネガティブではない言葉を使い意識が低くない事を示すのだ。

 

 

簡単に休めば治ると言ったが、具体的にどれくらい休めばいいかなどの目安は正直あまり無い。

それは人によって進行具合と痛みの感受性が違うからだ。

ただ、1〜2週間休んでも痛みが一向に良くならないのであれば病院へ行く事を勧める。

恐らくその時はもう疲労骨折か、その一歩手前だろう。

 

 

1週間休めば治る怪我で済むのか、完全に疲労骨折をしてしまい2ヶ月長期で離脱するのか。

はたまた手術をして半年出来なくなる可能性もある。

それを決めるのは自分自身と、キチンとした理解のある指導者の能力だ。

 

アスリート、スポーツ選手であるならば、基本的には自分の身体は自己管理しなければならない。

それが出来ないのであればトレーナーやマネージャーを雇うべきだ。

だが基本的には自分の身体のことだから、自分で管理する能力を身に付けておかなければプロにはなれないだろう。

育成年代(中、高校生)のうちからそのような能力を身に付けておけば、いつか必ず役に立つ日が来るだろう。

このブログを参考に自己管理能力を身につけてみて欲しい。

 

 

鈴木 翔

Vol.7 思い込み 【Part 2】

前回のあらすじ

 


ある選手が"肩凝り"というワードを知ってしまったが故に肩凝りの症状を発症してしまった。

その後肩凝りについて調べるうちに驚きの事実を突きつけられる…

 

 

 

前にも述べたがこの"肩凝り"というワード、日本特有の表現方法なのである。

つまりドイツ人にとって"肩凝り"というのは初めて耳にする言葉なのであった。

そして"肩凝り"の症状も知らないで今まで生きてきた。

ちなみに英語で言うと"肩凝り"は"stiff neck"という表現になるらしい。

そしてこの"肩凝り"という単語を大きく世に広めたのが、かの夏目漱石だったという説もある。※1

※1 参考文献⇨https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/44/4/44_4_361/_pdf

 


話を戻そう。

この文献にもあるように、"肩凝り"という症状自体が海外に無いというわけではない。

そもそもそういう言葉がない為に症状に気付いていない人が多いのだという。

 


人間の脳は何かに気付き、その物事を理解する事で初めてそのものを認識する。

例えば壁の向こうに人が居るのか居ないのか、それを確認する方法は壁の向こうへ行って視認するしかない。

視認することによって初めてそこに人がいるのだと判断する。

だがこの壁の向こうにいる人が、例えばよく出来た精巧な人形だったらどうだろう。

壁を越えて視認したはいいが、人だと勘違いする可能性もある。

 


今回のケースはこれとよく似ている。

「これは"肩凝り"と言ってこういう症状なんだよ」と教えてしまったばっかりに、それを信じ込んでしまった。

要は思い込みなのだ。

 


ちなみにこれと逆のパターンで"プラシーボ効果"というものがある。

日本名で"偽薬効果"。

一般的にもよく使われている言葉ではあるが、本来医療、薬学で用いられる事が多い。

例えば風邪を引いている患者に「これは風邪によく効く薬です。」と言ってただのビタミン剤を飲ませると、患者はそれを信じ込んで体調が良くなった気になる。

これを"プラシーボ効果"という。

 


プラシーボ効果


実はこの心理学的効果、スポーツ現場などでもよく使われる。

例えばフィジカル、テクニック、スキルなどが優れている選手でもメンタルが弱く、お腹を壊しやすい選手などがいる。

そういう選手は決まって試合前などにトイレにこもったり、試合でパフォーマンスを100%発揮する事が出来なかったりする。

そのような選手に「これはお腹の調子を整えてくれる薬だから試合前に必ず飲むように。」と言って外見は薬とよく似ているフリスクを渡す。

するとその選手は試合前にトイレへ行く事も無く、むしろ目をギラつかせて試合に臨んで行くのだ。

 


ただしこの効果は100%どの選手にも通用するものではない。

そして薬(偽薬)を渡す側の話術でほぼ全て決まってしまう。

話術以外にも選手とドクター、もしくはトレーナーなどとの信頼関係も重要となる。

要は信頼できる人間の言う事は刷り込まれてしまうのだ。

 

 

 

私がドイツで経験したケースは"プラシーボ効果"とは逆の効果(悪い効果)として選手に刷り込まれてしまったが、ある意味で選手との信頼関係が築けていたとも言える。

だが、信頼関係があるからこそどのように言葉がけをするのか、その言葉を言ってしまったことにより今回のように悪い影響を与えてしまわないのかというのを指導者は再確認すべきだろう。

選手も安易になんでも信じるべきではない。

自分で考える能力をつける事も一流のアスリートになるには必須の能力だ。

 


何にでも"はい"と答えるのではなく、"どうして?"と疑問を持つ事が重要だ。

 

鈴木 翔

Vol.6 思い込み 【Part 1】

 

怪我には様々な種類がある。

靭帯の損傷、半月板の損傷、骨折、肉離れ、打撲…

挙げだしたらキリがない。

大体の怪我は外的要因(事故などの接触)や内的要因(不良姿勢によるヘルニアなど)によって引き起こされる。

要は何らかの原因があった上で起こるのだ。

しかし今回話すのはそんな要因とは全く別の話。

 

 

これは私がドイツのサッカーチームで仕事をしていた時の話だ。

当時私はメディカルを担当していた。

選手がやってきては「カケル!膝が痛いんだ、どうにかしてくれ!」、「腰が痛くてシュートが打てないんだ!治してくれ!」なんて大雑把な要望に必死に応えていた。

まだドイツへ渡って1ヶ月もしていなかったのでドイツ語も全く分からず、英語も日常会話程度で専門用語なんて何も分からなかった。

そんな中である1人の選手がまた自分の元へやってきた。

 

「カケル、この間の試合で肩を痛めたんだ、診てくれ!」

私は要望に応えるため、あらゆる検査をして原因を割り出した。

結論から言うとその選手は上腕二頭筋の長頭腱炎だった。

原因が分かったら後はケアとリハビリだ。

「じゃあこれからケアをしよう。」

そう言って私は選手のケアを始めた。

そして気付いたことがある。

その選手、これでもかというくらい肩凝りが酷いのである。

思わず私は口走ってしまった。

「凄い肩凝りだな!ここ、痛くないのか?」

だが選手は「???」こんな表情である。

私の英語が通じなかったのかと思いネットで言葉を調べてドイツ語で言い直してみた。

だがそれでも通じない。

これは更なる語学の勉強が必要だと思った。

しかしそうではなかったのだ。

 

 

その日のケアを終え、家へ帰りネットを使い"肩凝り"というワードについて英語やドイツ語を調べてみた。

すると面白い事が分かった。

"肩凝り"というワード、海外では無い言葉なのである。

つまり日本独特の表現方法ということだ。

そうだったのかと納得し、次回選手に教えてやろうと思ってどうやって説明するか自分なりに訳したものをメモした。

そしてまたその選手と会話してみた。

拙い英語とドイツ語を用いてなんとか自分なりに納得出来る説明が出来た。

選手も「ふーん、そういう症状があるのか。」と納得していた。

だが、問題はここからであった。

 

 

後日その選手との会話。

カ「調子はどう?怪我は大分良くなって来たように見えるけど?」

選「ああ、怪我は大分良くなったよ。ありがとう。けどさ、この間話してた"肩凝り"ってやつ?あれの症状が出て来て困ってるんだ。」

 

肩凝りの症状が出始めた。

まあそりゃそうだよな、あんなに肩が硬ければとその時は思っていたがその後肩凝りについて調べていて驚きの事実を突きつけられる…

 

続きはPart 2へ

次回10/29更新予定

 

鈴木 翔

Vol.5 見えざるヒント【part 2】

 

前回3つの写真を見て終わった。

まずは復習しよう。

 

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この赤い丸で囲んだ部分。

一体これはなんなのか。

 

答えは反り腰によって作られたシワだ。

これは普段の姿勢が骨盤前傾している人に起こりやすい。

 

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この3つの姿勢の1番右、反り腰&骨盤前傾のパターンだ。

アスリート、それもトップ選手になればなるほど、この姿勢のパターンが多くなる。

理由はこの姿勢が1番パワー発揮がしやすい姿勢だからだ。

そして特にスピードを生かす選手は、ほぼ必ずと言っていいほどこの姿勢パターンになる。

ちなみに真ん中の猫背、骨盤後傾のパターンはお腹にこの線が出来やすい。

要は関節が大きく曲がっている部分に跡がつくのだ。

 

 

だがこの反り腰&骨盤前傾パターン、メリットもあればデメリットもある。

それはパワー発揮がしやすい分、色んな関節に負担をかけてしまうのだ。

そして今回の選手はそれが股関節、そして腰への負担が大きくなってしまった。

 

前回梨状筋症候群だと診断を受けて私の元へやってきたと言ったが、実はこの選手梨状筋の問題は少なかったのだ。

症状自体はほぼ一致するのだが、梨状筋の硬さはほぼ無いと言っていい。

更に股関節周囲の筋肉も動的、静的にも硬さは無い。

触ってもむしろ通常のアスリートの筋肉よりもかなり柔らかく、しなやかな筋肉だ。

では一体何が原因なのか。

 

そこで視点を変えて他の関節、筋肉にも目を向けてみた。

そして見えてきたのが反り腰&骨盤前傾からなる梨状筋症候群に似た症状だった。

 

施術前と後で姿勢の変化を観察し、動いてもらった。

施術後の方が圧倒的に痛みや違和感が無くなったと彼は言った。

骨盤前傾を改善したのは実は1横指分(人差し指の横の幅)だけである。

だが、このほんの少しの変化でも選手がプレーする時の感覚というのはかなり違う。

実際この姿勢変化で今現在かなりプレーが出来ている。

 

ただし、次に考えなければいけないのがこの選手の特徴である、「スピード」をこの施術により奪ってしまっていないかという事である。

先にも述べたが骨盤前傾パターンはパワー発揮がしやすい。

それはすなわちスピード型の選手にとっては必要条件のようなものだ。

骨盤後傾に促してしまうとその必要条件を満たせなくなり、スピードを失ってしまう。

だがこれはトレーニングで解決できる問題だ。

今回は紹介出来ないが、骨盤をニュートラルに安定させたまま行えるスピードトレーニングなどをすれば何も問題は無い。

 

 

目に見えて分かる問題から、見えない問題まで人の身体の特徴というのほ様々である。

特に背中というのは、人の運動の特徴を知る上ではかなり有用な手掛かりとなり得ることもある。

たまには自分の背中を写真で撮ってみることもいいかもしれない。

 

鈴木 翔

Vol.4 見えざるヒント 【part 1】

 

皆は自分の背中を見た事があるだろうか?

大抵の人はあまりないのではないだろうか。

レーニングをしている人は背中の筋肉の発達具合をチェックする為に写真などとったりするかもしれない。

だが、身体が商売道具のスポーツ選手ですら身体をチェックするために背中を見る事は中々ない。

そして今日はそんな背中の話。

 

 

 

まずはこちらを見て欲しい。

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サッカー、ヨーロッパプロリーグで活躍していた選手の背中だ。

この選手は以前梨状筋症候群と診断され今まで梨状筋に着目して治療をしてきたが、あまり改善が見られず私の元にやってきた。

足の痺れや痛みの部位など、梨状筋症候群にほぼ一致する。

ちなみに梨状筋症候群とはお尻の少し奥まった部分にある筋肉、「梨状筋」が「坐骨神経」という脚の後ろ側全体へ広がっていく神経を圧迫し起こる症状の総称のことを言う。

運動機能などは自己調べするべし。

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画像出典:Atlas、トリガーポイントマニュアルより引用

 

症状は様々であるが、主に痺れ、臀部またはモモ裏の痛みや張り、酷い場合ふくらはぎ、足の裏にまで痺れや痛みが出る。

 

何故梨状筋症候群が起こるのか。

大抵の場合梨状筋が硬くなったり、炎症や張りが出て坐骨神経を圧迫する。

では何故硬くなったり張りが出るのか。

諸説あり色んなパターンが存在するが、よく言われるのが運動不足。

要は使っていない筋肉は硬くなると言うことだ。

しかしこの選手の場合今でもサッカーも筋トレもしている。

ならば何が原因なのか。

 

ここでさっきの背中の話に戻る。

先程の背中をよく見てみよう。

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赤く囲んだ丸の部分。

横に線が入っているのが分かるだろうか。

これが何を意味するのか。

長くなりそうなので今回はここまでにしよう。

次回この真相を暴いていく。

 

鈴木 翔

 

 

 

Vol.3 怪我をした時あなたはどこへ行く?

 

前回医師以外に診断は出来ないと言う事を話した。

診断とは怪我や病気を判別し、それを患者に伝えるという行為だ。

だがスポーツ指導者や運動経験豊富な人間であれば、なんとなく怪我をしている人の足を見て「ああ捻挫かもね。」なんていう事もある。

同じく怪我を伝えるという行為にはなるがこれは診断ではない、指摘だ。

ニュアンスの問題ではあるがここを間違えると何かあった時に痛い目を見る。

 

「捻挫かもね。」←この表現には『かもね』というワードが入っている。

つまり断言をしていない訳だ。

100%これだよねという言い方をしてしまうと断言した、つまり診断してしまったと捉えられても仕方ないのである。

そしてこの『かもね』や、『多分〜だね』という表現、スポーツトレーナーやジムのパーソナルトレーナー、治療院、接骨院等の人達ならほぼ必ずこういう言葉を使う。

 

何故ならば彼らはほぼ全員医療資格保持者ではないからだ。

稀に医師免許も持っているトレーナーや治療家の人もいるので100%とは言い切れない。

だがほぼ全員がそうではないだろう。

 

近年多いのが、怪我をした時に病院以外の場所へ行くという人達だ。

例えば捻挫をしたから近くの接骨院へ行きました、というような学生が非常に多い。

確かに手軽に行けて、ある程度怪我を見てもらえるので非常に軽微な怪我であればそれでもいいとは思う。

では骨折だったらどうする??

 

ここでタイトルの質問が飛び出してくる。

 

 

怪我をした時あなたはどこへ行く?

 

 

多くの人は病院や整形外科と答えるだろう。

だが先程も書いたが、軽い捻挫程度なら接骨院等に行く人が後を絶たない。

何故だろう?捻挫も同じ怪我なのに。

前回の記事を読んでいる人は覚えているだろうか。

捻挫でもそれに伴って骨折をしている場合があると。

 

繰り返しになるが医師以外に診断は出来ない。

つまり接骨院整骨院にいる人達には診断という行為は出来ないのだ。

接骨院整骨院の先生方は柔道整復師鍼灸あん摩マッサージ師という方が多い。

国家資格であり、人体についての知識に関しては我々と比べ物にならない程勉強されている。

だがこの先生方にも診断をつける事は国から許されていない。

これは法の問題なのだ。

 

診断、医療行為が出来ない人間の元へ怪我を見てもらいに行くよりも、確実に診断が出来て、尚且つ骨折が伴っていた場合にレントゲンやMRIなども撮れる病院、又は整形外科へ行く方が賢くないだろうか?

 

あくまでもこれはアドバイスであり、強要ではない。

それに接骨院整骨院の方々を侮辱しているわけでもない。

むしろ尊敬に値する。

 

これを機に怪我をした時にどこへ行くべきなのか、考え直すキッカケになるといいと思う。

 

鈴木 翔